CRIDE・SOUL

第三話

第三話「はじめてのくんれん・スバル編」


 早朝、いつものスターズ・ライトニングの面々は点呼のため訓練地に走っていた
 しかし今日から倉和が加わるため、なぜかスバルとエリオは汗が止まらない、それは先日
鬼のような映像を目の当たりにして今日からその人指導の元訓練するというのだ
 訓練地である森林地帯に着くと、そこにはなのは、ヴィータなどいつもの人たちがいた

なのは「みんな、おはよう。今日も一日頑張っていこうね」

4人「よろしくお願いします!」

 汗が止まらないスバルとエリオだったが、なぜかそこには倉和の姿が無かった。不思議に思い
二人は顔を見合わせる、するとシグナムが口を開いた

シグナム「今日から一月、私とヴィータの他にもう一方訓練官を加える」

なのは「飯田倉和陸曹長・・・ってあれ?さっきまでいたのに」

 なのはも首を傾げ、みんなが辺りを見回していると、倉和を見つけたであろうフェイトが
森の中を見ながら

フェイト「みんな、飯田陸曹長は今からそこで新しいフィールドを作るよ」

4人「へ?」

 全員が一点を見ると確かに倉和が立っていた
 自分の横に剣を刺し立て、腕を組み目を瞑り精神を集中させているようだ、エリオがシグナムのほうを
ちらりと見ると、あのシグナムが拳を握り頬に一筋の汗が流れるのが見えた
 倉和が剣を取り、土を払うように軽く一振りすると、周りが途轍もない威圧感で包まれた。ビ
リビリをくる感覚をスバルが重く実感しながらじっと見ている
 倉和は剣を肩にかけ、足場を固定した。そして・・・

倉和「おぉぉぉおおおおおぉッ!!!」

 脚をズラしたと同時に両手持ちに切り替え滑るように一回転すると土煙を出しながら周りの樹木
およそ十数本が一瞬で薙ぎ倒された。倉和の周り半径5メートルはただのむき出しの土地になり、
樹木は良い感じの障害物として周りに散らばっていた。終えた倉和は、器用に片手で剣をひっく
り返し、再び地面に突き刺した

倉和「ま・・・こんなモンかね」

なのは「あのぅ、飯田さん?」

倉和「おっと、すまないな高町一尉、許可無くフィールド変えちまって・・・って、俺の方が階級
   は下だから、呼び捨てでもいいってのに」

なのは「そんなの気にしませんよ、それよりこの子達に自己紹介してくださいね」

倉和「メンドクセェなぁ・・・飯田倉和だ、魔法術式なしのランクなし。まぁ一月っつー短けェ
   期間だが、別に死ぬ程キツくするワケじゃねぇから、仲良くやろうや。んーと・・・こっち
   スバルで、エリオだっけ?」

二人「よ、よろしくお願いします!」

エリオ(ス・・・スバルさん、なんかイメージが違うような違わないような・・・)

スバル(いや多分まんまだと思う・・・容姿に似合わぬこの性格)

 二人が顔を見合わせていると、倉和がバシっと自分の拳をたたき合わせて

倉和「さァて!細かい話はメシん時だ!今からツーオンワンの模擬戦やっぞぉ、準備だ準備!」

二人「えぇえええぇぇぇ!?」

 あたふためく二人とズカズカと一人森へ入る倉和を見ながら、シグナムが昔の彼の元での訓練
を受けていた時代の話をした

シグナム「あの方はの訓練は通常3週間、今回は一月になっているが・・・まず教える者達の力量
     と適性能力を調べる為に模擬戦を行う、それも一人が不特定多数の人間とだ、私が
     受けた時、12人いたために6人ずつで2回行われた」

ヴィータ「んで、お前は持ち堪えられたのか?」

シグナム「崖っぷちに立たされた気分だったさ・・・それもあの方は訓練用の剣で難なく動いて
     いる、最初の模擬戦で凌げたのは私含め3人・・・それもかなり限界だった」

 シグナムは倉和のさっき置いていった剣にコンテナに目をやる、訓練用の剣が二本あるが、一つ
は抜かれている、それに少し形の違う実戦用の剣が二本、ヴィータが興味津々にコンテナに寄って
剣を持とうとする・・・が、剣は動かなかった

ヴィータ「う・・・な、なんだコリャ!?重くて持てねぇ・・・」

シグナム「いくらアイゼンを振るお前でもその身体じゃ訓練用のも持てないだろうな、あの方の
     剣は一番軽くて120キロ・・・重くて270キロだ」

 ヴィータはぽかんとした表情でコンテナの剣を見ていた、すると森のほうから軽い爆発音が響いた

シグナム「ヴィータ、刮目せよ・・・あれが人間の限界を超えた人間の動きだ」

スバル「でぇえええええぇぇぇりゃぁあああぁぁぁぁぁっ!!!」

 スバルがウイングロードを引っさげて荒い森をかいくぐり、倉和の立っている薙ぎ払ったフィールド
に突っ込んでいく、カートリッジを使いリボルバーナックルを回転させての正面突破
 それに気づいているだろう倉和は、剣を横に刺し立てたままスバルの突貫を見ていた

エリオ「まさか・・・自分も素手で受け止めるつもりじゃ!?」

 一瞬で事は起こった、激しい衝撃と共にスバルのリボルバーナックルが倉和を捕らえ、そのまま
再び樹木の荒れ生える森へ向かって突っ込んでいった。数十メートルほど直線の木が次々と砕け
吹き飛んでいった、最後には岩壁に突っ込んで止まった

スバル「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 スバルの怒濤の特攻にティアナとキャロは唖然としていた

ティアナ「スバル・・・それは流石にやりすぎじゃ・・・」

シグナム「・・・来るぞ」

キャロ「へ・・・?」

 スバルの目の前には土埃、そしてリボルバーナックルに土手っ腹を捕らえられ岩壁にめり込んでいる倉和の姿、スバルはやっとこ呼吸が落ち着いて、手を放そうとした時だった

スバル「はぁ・・・はぁ・・・・・・へ?」

 腕が動かない、それもそのはず、倉和の右腕がいつの間にかスバルのナックルを横から掴んでいた。そしてそこにもたれ掛かっているのはカスリ傷程度しか負ってなくて、「氷の鬼人」の眼
をした倉和の姿だった

倉和「・・・浅い」

スバル「うぐっ・・・・・・」

 と言った直後、スバルの腹には拳ひとつ、それは間違いなく倉和の左拳であり、重い衝撃と
共にスバルは前方へ吹き飛ばされていた
 地面に転がり落ちるスバル、倉和は自分の腹をパンパンっと払ってからスバルへ歩み寄り、気を
失っているスバルを抱きかかえた

倉和「医務室行きだ、悪いが誰か持ってってやってくれ」

 ティアナ、キャロ、ヴィータは、ただ開いた口が塞がらない状態になっていた


                  END


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